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今の場所に住み始めてから、もうすぐ2年。付近に「誰も住んでない(であろう)空家」がある。どんよりした曇り空の日や、真夜中に通りかかると、幽霊が「やあ」と不意に顔を出しそうな陰鬱な佇まいをしているこの家。実は最近、この空家付近のどこからともなく鳥の鳴き声が聞こえるようになった。それも数羽の鳴き声じゃない。何十羽レベルの鳴き声だ。ツバメが巣を作っているのだろうか、とあたりを見回してみても、どこにもそれらしきものは見当たらない。ただ、チチチチチ、という鳴き声(重音。文字で表現できるような可愛い音ではない。どちらかというとヂヂヂヂヂかも)だけが響いている。まるでミステリー(鳥)。今日が爽やかな日曜日ということもあり、意を決して、まだ見ぬ鳥たちの探索をしてみることにした。家の周りをぐるっと見回ること、約10分。どうやら鳴き声はベランダの欄干付近から聞こえてくる。しかし、姿が見えない。うーん、と悩みつつ、少しずつ近づいてみると、突然「ケェーッッ!!!」という鳴き声と共に謎の鳥がバッサバッサと飛び出してきた。その後、小さい鳥が戸と戸の間から一斉に顔を出す。凄く細い隙間から。こんなところに鳥の住処はあったんだね。それにしても、顔を出した鳥は5、6羽。もしかしたら、もっとたくさんの鳥が家の中で生活をしているのかもしれない。食べて、眠って、遊んで、幸せそうに。そんな生活空間に見知らぬ人間の男が近づいてきたら、叫びたくなるかもね。ケッ、ケッ、ケッ!ってなふうに。