2017年04月

桜でんぶのような

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この土日の暴風で、桜の花びらが舞うこと、舞うこと。おとなしく地面に舞い降りるばかりが、われわれの生ではないと言わんばかりに、散歩中、至る所で桜の花びらの”たまり場”を見かけました。こっそりと傘に張り付いてるやつもいれば(おれが持っていたビニール傘にも)、川を悠々と流れているやつもいれば、若者のツンツンヘアーの先端にくっついてるやつもいた。まあ、どこまで辿りつけるのか、どこかで振り落とされるのか知らないですが、たとえツンツンヘアーにくっついていたって、桜と言えばそれなりに絵になりますし、くっつかれていることに気付いた人や見つけた人も笑って済ませてしまいそうな、まったく春そのもののような暖かさがそこにはあります。近くの川辺を歩いていたら、まるで「桜でんぶ」のような、花びらのたまり場がこんなところにも。信じられないことに、いつもは緑色がかった川なのです、ここ。近くで、登山帽をかぶった女性が、この「桜でんぶ」に向けて、じっと一眼レフカメラを向けていたので、やはり珍しい光景なのだろうかと思っていたら、このピンク色の川から「ピー!ピー!」とかいう可愛い鳴き声とともに飛び出してきたのは、カワセミ。その後、パシャ、パシャ、とシャッター音。ああ、これを狙っていたのね。登山帽の女の方。口のなかに甘みを感じ、コーヒーが欲しくなる。春も、あと少しで終わりですな。

川奈まり子『赤い地獄』

川奈まり子
廣済堂出版
2014-12-10

元AV女優(らしい)川奈氏による怪奇譚。エログロというやつですな。いやあ、怖い。もちろん内容もですが、装丁からして怖い。こうして記事を書いてるときにも、表紙に描かれてる人物の目から視線を感じ、更に自分の後ろから何らかの気配を感じ、背筋がぞわっとするわけです。帯を見ると、さらっと「一部読者の間で”読むと障る”とまことしやかにささやかれた・・・」とか、同著者の別の作品が紹介されてて、え?これ読んじゃって大丈夫なの?とか思いつつ読み進めてました(今のところ、自分の周りでは怪奇現象は起こってないようですが、たぶん)。実は本作品、1年半ほど前に行われた本の交換会にてゲットした(してしまった!)ものでして、つまり出会いを果たしてから、読了するまでに1年半の期間を要しました。読みづらいというわけではなく、むしろ読みやすく、別の評者も書いていましたが、書かれた怪異そのものに”色気”があると。これほど恐ろしく、ゾワゾワする物語なのに、もっていかれそうになるくらいの牽引力があるんですね、文章や世界観そのものに。エロい!グロい!と一言で完結できない、上手く言葉では表現できない魅力は確かにあるように思います。これもまた恐ろしいことに、全ての話が著者の”実体験にもとづく”ものらしいので、そうしたノンフィクションの要素が物語の各所に散りばめられていることが、このよくわからない酩酊感のような魅力につながっているのかもしれません。どこからが現実で、どこまでが非現実?ここから著者の実体験談(ノンフィクション)なの?と読んでいて何度か思いましたから。祟られそうなので具体的な内容については触れません。ただし、表紙を見て退けてしまうにはもったいない、なんだか他の小説には見られないような官能的な怪しさに溢れている物語だったのでした。あまりよろしくない心理状態の方には決してオススメはしません。この春の陽気のような、爽やかな風を担保できるような、そんな心の余裕を持っている方、実は恐いもの好きな方は手に取ってみてください。

ようやく咲き始めた桜

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先週くらいまで最高気温が10度の日もしばしば。一体、いつになったら春がやってくるのかと心配していたのだが、今週に入って一気に春めいた陽気になった。待望の桜もようやく7分咲きといったところで、おそらくこれから週末にかけてピークになるだろうか。東京都心ではすでに満開になったと報道されていたので、若干遅れての花見日和になりそうな、ここ、横浜である。この時期は散歩が気持ち良い。今週は「やっと春がきた!」という気分のままに、昼休みに入ったらすぐに外に出て、そのへんで適当に弁当を買って、大岡川沿いの桜並木を眺めながら、ぶらぶらと歩き回っている。川沿いでここぞという場所を見つけたら、川を上っていく鯉や、羽根をばたつかせて水浴びをしている鴨などの様子を見ながら昼ご飯を食べる。これが最高なのだが、あまり長居をしすぎると、今日が出勤日であることも忘れて熟睡してしまいかねないため、まどろみ半分、早めにスイッチを切り替えて職場に戻ることにしている。大して効かない、フリスクを一粒。まったく、ようやく春だねぇ。
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